高次脳機能障害の後遺障害
以下では「高次脳機能障害」の症状や後遺障害、支払われる賠償金について、解説します。
高次脳機能障害の症状
高次脳機能障害とは、脳の「認知機能」に生じる障害です。
認知機能とは、物事を感知したり理解したりする機能で、人間の脳の根本的な働きと言えます。これが低下することで「認知症」と似たような症状が顕れます。
高次脳機能障害の具体的な症状は、次のようなものです。
▽ 記憶障害
物事を覚えられなくなったり、過去の物事を忘れてしまったりする。
▽ 遂行機能障害
計画を立てたり、計画通りに物事を行うことが難しくなる。
▽ 注意力障害
集中力や注意力が散漫になり、ミスが増える。
▽ 失語症・失認症・失行症
言葉が出なくなる、ものが見えても認識できなくなる、日常生活上の当然の動作ができなくなる。
▽ 社会的行動障害
感情の起伏が激しくなり、突然暴れ出したり嫉妬深くなるなど、社会に適応して生きていくことが難しくなる。
後遺障害の等級
事故で、頭部に強い衝撃を受けたケースなどで、「高次脳機能障害」になることがあります。
医学的にも比較的新しい分野であり、なかなか後遺障害として認められることがなかった時代もありました。しかし現在は、画像所見があれば後遺障害認定を受けられる可能性があります。
症状の程度によって認定される等級が異なりますが、可能性のあるのは以下の等級です。
1級・2級・3級・5級・7級・9級
高次脳機能障害になったときに請求できる賠償金
高次脳機能障害になった場合には、症状にもよりますが、通常の賠償金に追加して、以下のような賠償金を請求できることがあります。
▽ 後遺障害慰謝料
▽ 後遺障害逸失利益
▽ 介護費用
▽ 自宅改装費用
重い高次脳機能障害になった場合、後遺障害慰謝料は2800万円程度になることもあります。これに、後遺障害逸失利益も合わせますと数千万円以上となることもあります。
しかし、任意保険会社からの最初の提示額は「裁判基準(弁護士基準)」の半分以下となることも珍しくありません。
交通事故に詳しい弁護士は、相手保険会社とうまく交渉して、この提示額を裁判基準に上げることができます。
実際、当事務所が高次脳機能障害となった被害者の示談交渉を受任して、2倍以上の賠償額の示談を成立させたことがあります。
*交通事故によって、高次脳機能障害の後遺障害が残った場合は、家族で抱え込まずに、交通事故を得意とする当事務所にご相談ください。必ずお力になります。