労災を利用するメリット
通勤途中で交通事故に遭った場合には「労災保険(労働者災害補償保険)」を利用できる可能性があります。
この他にも退勤時、外回りなどの業務中の交通事故にも、同じく労災保険を適用できる場合があります。
労災保険を利用するメリット
労災保険には、以下のようなメリットがあります。
可能性がある場合には一度、利用を検討されてみるべきでしょう。
治療費
労災保険の給付内容のうち、「療養補償給付」が治療に関するものです。療養補償給付の特徴を2つご説明します。
・限度額がない
自賠責保険の傷害保険金には120万円という限度額がありますので、相手の任意保険会社からはその限度額が近付くと「治療の打ち切り」を打診されることがよくあります。労災保険の場合には限度額がありませんので、そのような心配をせずに最後まで安心して治療を続けることができます。
また労災保険は、病院でかかった治療費については全額負担してくれますので、その点も心強い制度です。
・過失相殺を受けない
任意保険とは異なり、労災保険では治療費については過失相殺を受けません。
自賠責保険のような重過失減額もありませんので、自分の過失割合が高い場合にも治療費を全額出してもらうことができます。
休業補償
労災に該当する交通事故が原因で休業をした場合、労災保険から以下のような給付を受けることができます。
①休業補償給付
事故前の基礎収入の60%×休業期間
②休業特別支給金
事故前の基礎収入の20%×休業期間
これらは、過失相殺を受けないというメリットがあります。
一方、交通事故に遭いますと、相手保険会社からの「③休業損害の賠償」を受けとることができます。
労災保険の「①休業補償給付」と、相手保険会社からの「③休業損害の賠償」は、同一の目的にもとづくものですので、基本的にはどちらか一方しか受け取れません。
ところが、労災保険の「②休業特別支給金」は、労働者の福祉の増進を目的とした給付ですので、①や③とは無関係に受け取ることができます。
障害補償
「障害補償給付」は、労災保険の中で後遺障害に対する補償を目的とした給付です。
自賠責の後遺障害等級の認定を得て、相手保険会社から「後遺障害に関する損害賠償」を受けた場合、「障害補償給付」の金額は調整されることになりますが、保険会社からの損害賠償金を超えた給付を受けることができる可能性があります。
労災保険を利用するには
労災保険を利用するためには、まず事故による傷害について労災認定を受ける必要があります。認定を受けた後も、各給付を受けるためには更に労働基準監督署に申請をして、適切に手続きを進めていく必要があります。
また相手保険会社との調整も必要となりますが、保険会社の担当者の中には、労災保険の制度をよく知らない者もおり、ご自身での調整は難航することもあります。
専門的な知識・ノウハウも必要ですし、手間や時間もかかる手続きになりますので、専門家によるサポートを受けると効果的です。
通勤や退勤の途中、業務中などに交通事故に遭われた方は一度、当事務所までご相談下さい。